月の擬本影と金環日食の見え方の関係

      ※これらの説明図の無断転載を禁じます。


 


 下の図は、5月21日(日本標準時)の7時34分頃に、横浜市緑区付近を通過する月の擬本影です。この時刻における擬本影の長軸の幅は281キロです。擬本影は、このあと北東の方向に進んでいきます。すなわち、図の左下から右上に中心線上のラインに沿って移動していきます。
 月の擬本影は、北西から南東に長軸を持つ楕円形の形をしています。図において北限界は、その時刻の擬本影の長軸の北側の端点、南限界は南側の端点です。中心はこの楕円の中心です。擬本影が移動していく軌跡の、それぞれの点を結んだ線が、中心線、北限界線、南限界線です。
 第2接触(金環食の始め)は擬本影において、長軸の北東側の楕円形の縁が観測地に接する瞬間です。第3接触(金環食の終わり)は、長軸の南西側の縁が観測地に接する瞬間となります。食の最大は、観測地が擬本影に最も深く覆われる瞬間となります。すなわち、この図において横浜市緑区は、楕円の中心が通過する瞬間が食の最大です
 この時刻において、北限界線上、南限界線上、中心線上、そして中心線上における第2接触の地点(図の右上のキャプションの地点)、中心線上における第3接触の地点(図のやや左下のキャプションの地点)における、金環日食の見え方を示します。
 太陽は、天頂(観測者の頭の真上)を上にして描いています。北限界線上、南限界線上では、瞬間的に金環日食となりますが、その前後は全て部分日食です。瞬間的に金環日食になるということは、第2接触の時刻=食最大の時刻=第3接触の時刻という意味です。
 金環日食時に北限界線上では、太陽の右下が切れ切れとなったリング状に、南限界線上では、太陽の左上が切れ切れとなったリング状になります。中心線上では、大まかに表現すれば、第2接触時に太陽の右上が切れ切れのリング状となり、食最大の時には、同心円状のきれいなリング、そして第3接触時には、太陽の左下が切れ切れのリング状に見えます。なお、中心線から外れた地点で、なおかつ金環日食帯の中では、食最大の時刻におけリング状の太陽は、同心円状ではなく、偏心したリング状になります。

 金環日食帯の中で、金環食時の太陽がどのように見えるか、詳しくは「各地の日食の状況」の、該当する地域の「日食の進行状況」の図をご覧ください。